
アッパーマウント ゴムかピロか
みなさまいつもパーツワン大阪店のブログを
ご覧いただきありがとうございます。
いきなりですが、 「串打ち3年 裂き8年 焼き一生」 という言葉をご存知でしょうか。
ウナギ職人の間でまことしやかに囁かれる格言のようなものですが、
もちろん 「ぬるぬるするから3年かけて串を打って、ぬるぬるするから8年かけて捌いて、
まだなんかぬるぬるするから一生焼き続けたらウナギをおいしく調理できるんやで」
という意味ではありません。
そんなに焼いたら間違いなく焦げます。
「ウナギを一人前に調理できるようになるにはそれぐらい長い時間がかかり、調理するのがそれだけ難しい食材である」
という意味です。
なにが言いたいのかというと、実はそんなに言いたいことはありません。
ウナギが食いてえ(アナゴでも可)。ただそれだけでございます。
さて。キーボードがよだれまみれになる前に本題に移りましょう。
前々回 「アッパーマウント」 には2種類あることを解説しましたが
今回はそれぞれのメリット・デメリットについて解説して参ります。
~”ゴムブッシュ式” のメリット~
・”ピロボール” に比べて 「乗り心地」 が柔らかい
→サスペンションの動きがボディに伝わるまで(ブッシュがたわむまでの時間)のロスがあることで乗り味がマイルドになる。
・”ピロボール” に比べて 「異音」 が出にくい
→金属製の ”ピロボール” と比べるとゴム製のブッシュの方が干渉音などは出にくい。
・走行中のアライメント変化がマイルドになるので扱いやすい
→ブッシュがたわむまでの時間にロスがあることで、走行中のアライメントの変化スピードが緩やかになり運転しやすい。
・路面からの衝撃や振動が車内に伝わりにくい
→”ゴムブッシュ” は縦横どちらの動きにも対応できるので、多角的な緩衝ができる。
~”ゴムブッシュ式” のデメリット~
・ベアリングに異物が噛んでしまうと 「異音」 の原因になる
→ストラット式サスペンションの場合、ステアリングを操作するたびにベアリングが動くので、
異物が噛んでしまったりグリスが切れてしまうと 「異音」 が発生する事がある。
・”ゴムブッシュ” がへたるとアライメントの変化が大きくなる
→「ブッシュがへたる」とはゴムが硬化してしまい弾性を失うことなので、たわんでも元の位置に戻りづらくなり、結果的にアライメントが狂う。
・大きく負荷がかかると取り付け軸がブレることがある
→”ゴムブッシュ” の場合、高速域でのコーナリングや路面からの大きな入力があったときに、ミクロ単位ではあるが
全く同じ取り付け位置に戻ってくることがない。
・「たわみ」 によってサスペンションの性能を100%使い切ることが難しい
→サスペンションはバネとダンパーがフルに仕事をしてこそなので、 「たわむ」 部分があるとダンパーの減衰力やバネの伸縮性に
バラつきが出てしまい、サスペンションの動きにムラが出る。
~”ピロボール式” のメリット~
・”ゴムブッシュ” のように 「たわむ」 部分がないのでサスペンションの性能をフルに使うことができる
・”ゴムブッシュ” のように 「たわむ」 部分がないのでサスペンションの取り付け軸のブレがない
・”ゴムブッシュ式” のベアリングの役割を ”ピロボール” が担うためステアリングの応答性がよくなる(ストラット式の場合)
→”ゴムブッシュ式” だと 「ブッシュのよじれ」 の分だけステアリング操作とタイヤの動きにラグが生じるが、
”ピロボール式” の場合、ステアリングの操作がダイレクトにタイヤの動きに反映される。
~”ピロボール式” のデメリット~
・路面からの衝撃や振動を吸収しきれないので 「乗り心地」 が硬い
・”ピロボール” が摩耗したり錆びたりすると 「異音」 が出やすい
→”ピロボール” の本体とボール受け部が摩耗したり錆びてくると、ガタつきが出て音が出る。足回りの異音あるある。
・新品の ”ピロボール” は密着性が高く動きが渋いことがありこれも 「異音」 の原因になる
→ボールとボール受け部にフリクションがかかり ”ピロボール” がうまく動かないと、スプリングとスプリングシートが動いてしまい音が出る。
・走行中のアライメント変化がダイレクトになるので扱いづらいことがある
→アッパーマウントのみの ”ピロボール化” であれば扱いづらくなるほどの動きにはなりにくいが、
アーム類などの ”ピロボール化” も敢行すると街乗りでは扱いづらくなることがある。
それぞれのメリット・デメリットはざっとっこんな感じです。
ちなみにアッパーマウントの種類は大きく分ければ2種類ですが ↓ ↓ ↓ こんな感じのもあります。
これは何かっていうとマウントの ”ピロボール” 部分を左右にスライドさせることができる ”キャンバー調整式” アッパーマウントです。
その名のとおりキャンバー角を調整することができるアッパーマウントですが、調整できるのはストラット式サスペンションに限ります。
せっかく車高調を買うならぜひアッパーマウントにもこだわってみてはいかがでしょうか!